twilog まり(@mrmlmary)

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犬を喰うライオン5【ルキEDルキジャン←○○】

いつも、お久しぶりです。

ついったで励まされて、
やっとルキジャンの続きを書きました。
ありがとうございます。

今回書いてて思ったんですが、
自分はどうやらルキーノを責める気持ちがかなり強いようです。
ルキーノの過去を思うと、ルキーノを責めたくなるのです。

なんでシャーリーンを信じなかったの?
なんでアリーチェを守らなかったの?

この二人が死なないことにはルキジャンの話は始まらないので、
しょうがないんですけど、
やはり、なんで?という問いを止められません。

ルキーノ自身が最も悔いていると思いますが、
私はルキーノを責める気持ちを抑えられません。


今回、えろなしです。


********************

 ジャンとジュリオの間に何かがあった。それは確実だ。おそらくジュリオはジャンの身に起きたことを知っている。
 ルキーノは次の一手に考えを巡らせながら、組のフォードに乗り込んだ。行き先は銀行通り、ボンドーネ家系列のリストランテだ。
 ジャン至上主義のあの男が、ジャン自身も隠したがっていることについてそう簡単に口を割るとは思えない。オメルタを持ち出しても、ジャンのために死を選ぶだろう。
「さて、どうするかな」

 リストランテに着くと、ルキーノは部下をフロアの入口に待機させ、自分は迷わず奥の個室へと歩みを進めた。
 個室はディナーの時間ならば予約が入るが、ランチとなれば話は別だった。今の時間帯に個室の予約を取るカタギの客はおらず、いるとしたら同業者だ。
「…」
 案の定そこにはジュリオが居た。
 無言で、無表情で席の側に立っている。
「驚かないのか?」
「ジャンさんは?」
 会話がかみ合わない。
「食事にしよう。腹がへった」
 ルキーノもジュリオの問いかけには応えず、勧められもしない椅子に座った。傍らの給仕にメニューの内容を聞く。
 ルキーノはメニューを選ぶのが好きだ。やれ今日は旬の魚介が入ってきただの、やれ今日は新鮮な野菜が手に入っただの、シェフと繋がるための給仕との会話が好きだった。今日も例に漏れず、メニュー選びに時間をかける。じっくりと、相手を、そして相手に焦がれる自分を焦らすように。手触りのよい薄い布を一枚一枚剥ぐように。食事とセックスは、ルキーノにとって本質的に繋がっているものだ。
 だが今日の相手はジュリオだった。
 メニューの影からジュリオの表情を伺う。全くの無表情だ。メニューすら持っていない。
「ジュリオ、お前は頼まないのか?」
「…同じものを」
 つまらん男だ。
 アンティパスト、プリモピアット、セコンドピアット…、滞りなく流れるように食事は進んだ。だたし、二人とも無言だった。…異常である。料理を無言で黙々と食べる。雰囲気も料理のうちだと思っているルキーノにとっては苦痛であった。頼んだミネストローネが美味しかったことがせめてもの救いだった。
 一息ついたとき、ルキーノは堪らず口を開いた。
「ジャンが、怪我をした」
「…」
「今は病院に行っている」
「…そうか」
 再度、沈黙。
「ジャンを傷付けたヤツがいる」
「…」
「どうした?ジャンに危害を加えようとする者にはいつも容赦がないお前が、ここでダンマリか?」
「…ジャンさんの命令次第だ」
 ジュリオの態度は崩れない。
 主犯はジュリオではない、ということか…?
 食事もそろそろ終盤、ドルチェが運ばれてきた。巨大なパフェが。
 ルキーノはパフェを頼んでいない。ジュリオもだ。全て「…同じものを」言っていたのだ。しかし今、二人の間にはバケツほどもあろうかというパフェがテーブルを陣取っている。
「…」
 パフェの頂上には、ルキーノが頼んだラズベリーのジェラートがちょこんと乗っかっている。
 大量のパフェに呆れつつも、ジェラートは口に入れようとルキーノが顔を上げたときだった。
「―――…!」
 巨大パフェの向こうで、ジュリオのダーク・バイオレットの瞳が、揺れた。
 ああ、そうか…。
 ルキーノは、その瞳を見たことがあった。何度も、何度も。自分に向けられる恋焦がれた瞳を。シャーリーンと結婚してからは、特に。
 その瞳は、切望。憧憬。決して果たされることのない想い。憧れ。報われることがないと分かっていながらも、もしかしたらと思い続けてしまう恋情。…シニョーラ達の数え切れない視線をすり抜けてきた。
 ジュリオの瞳は、パフェの向こうにジャンを見ていた。
 ジャンのテーブルマナー習得のために、ジュリオとジャンはしばしばランチを共にしていた。ジャンはきっとテーブルマナーに悪戦苦闘していたことだろう。そして最後のドルチェは労いの意味もこめてジャンのためにジュリオがシェフと話をつけたものだろう。二人は一緒にスイーツを食すのが好きだ。つい先日も本部の執務室で休憩と称して巨大なパフェを二人で突きあっていた。ジャンはスイーツを食べるのが好きだが、ジュリオはジャンと一緒にスイーツを食べることが好きなのだろう。
 ルキーノはパフェにほとんど口を付けず、リストランテを後にした。

 リストランテの帰り道、優秀な部下は市街の渋滞をすり抜け、最短時間でグレゴレッティ邸へ向かっていた。
 ルキーノの仕事は早朝と夜である。特に何事もなければ、午後はシエスタの時間だ。しかし、今日はそのような気分ではない。ソファに靠れてもきっと惰眠を貪ることはできないだろう。あいにく日々真面目に仕事をこなしているため溜まっている業務もなく、本部に行く用事もない。
「悪いが、バールへ」
「はい」
 自宅はもうすぐというところまで来て、運転手には申し訳ないが、いつも利用しているバールで過ごすことにした。ジャンが帰ってくる、いや、帰ってくるかもしれない宵の口まで、ただ時間を潰したかった。一人にはならないほうがいいと思った。せめて、人混みの中に。暴れだしそうな感情が自分自身の中で渦巻いていることだけはわかっていた。

 目の前のエスプレッソに砂糖をミルクをたっぷり入れる。スプーンでかき回す。口をつける。濃厚な味と香りが口の中に広がる。バールのざわめきに耳を傾ける。
 パフェの向こうのダーク・バイオレットの瞳を、思い出す。
 ジュリオはベルナルドとは違っていた。
 ベルナルドはジャンを手に入れる手段を知っていたし、持っていた。ただ、ヤツはヘタレなのだ。旧くからの友人、年上の頼れる兄貴分という立場を失うことに怯え、しがみつき、自分から行動しないのだ。
 だが、ジュリオはそうでなはい。ジュリオはたぶん知らないのだ。どうすればジャンを振り向かせられるのかを。心と身体を巧みに絡めとる方法を。
 ジュリオにも肉欲はあるだろう。だが、自分の欲情も手段として利用し、ジャンの心を翻弄しようという気がない。ジャンが自分のものになる、という感覚が想像できないのだろう。
 ジュリオはただ、ジャンに焦がれていた。
「…」
 もう一度、カップに口をつける。喧騒がルキーノを落ち着かせてくれた。
 つまりは、ジャン次第なのだ。あの男がよく言う、ジャンさん次第、なのだ。
 ジャンがジュリオを求めれば、ジュリオは応える。ジャンの求めがなければ、現状のままだ。カードは常にジャンの手の中だ。すでに、ジャンの相手が誰だったのか、ということは重要ではなくなった。
 だからこそ、気に入らない。
 ルキーノは自分の苛立ちの根源に向かい合うことになった。
 ジャンが相手を隠している。
「…」
 ため息が出た。
 ジャンは、なぜ、相手を隠すのか。ジャンはその気があるのか。誰かを、ジュリオを、求める気があるのか。
 ジャンが負傷していたため、頭ではジャンの同意はないと自分に言い聞かせていた。しかし、結局自分はジャンを疑っていた。
 疑心暗鬼。独占欲。自尊心。嫉妬。
 …浮気。
 この思考には覚えがあった。
 行き着く先は、喪失だ。

 運転手を呼び、ルキーノは今度こそ自宅に帰った。
 部下はいつもどおり、ルキーノが門の中へ入ったのを確認してから、走り去った。
「…」
 日はとっぷり暮れていた。
 いったい何時間あのバールで時間を潰していたのだろうか。思考は毎回同じところに辿り着いた。
 ルキーノは門の外を眺めた。何もない。門の外へ出てみると、向こうに街灯があった。閑静な住宅街だ。車通りはほとんどない。
 自宅の門の前、ここはシャーリーンとアリーチェが殺された場所だ。
 ふと、ランチで食べたミネストローネの味を思い出す。シャーリーンはよくミネストローネを作ってくれた。手間も時間もかかるその料理を、ルキーノの好物だからと、わざわざ作ってくれた。舌の上にシャーリーンのミネストローネの味が蘇る。
 最期のとき、シャーリーンは何を思ったのだろうか。無念だったろう。口惜しかったろう。心細かったろう。やりきれなかったろう。してもいない浮気を疑われ、夫には守ってもらえず、命の危険を感じ、恐怖に震え、しかし我が子を守ろうと必死で…。
 ゴシップ紙に書きたてられた過去はほとんど真実だった。妻子を見殺しにしたも同然だった。
 ルキーノは道の向こうをぼんやりと眺めた。
 自分はまた同じ轍を踏もうとしている。また、失うのか。また、自ら最愛の人を見捨てるのか。
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ジャンル : アニメ・コミック

tag : LD1 ラッキードッグ1 ルキジャン

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