twilog まり(@mrmlmary)

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ベルナルドのロリポップ【イヴァンEDでベルジャン2】

 デイバン市街の一角にあるCR:5の本部。先の抗争で民間のホテルを拠点としたことを教訓に、新たに強固な基地として建設したものだ。
「よぉ、ベルナルド」
「ああ、ジャン。久しぶりだな」
久しぶり、といっても1週間くらいしか経っていないはずだ。ベルナルドはすぐこう言う。
 この本部に常駐しているのはベルナルドといっても過言ではない。ボス・アレッサンドロの居住スペースと、俺たち幹部5人がいつでも宿泊できるように専用の部屋と事務室も設けられている。しかし、ボスはほとんどどこかへ遊びに出かけていて夜は帰ってこない。さらに他の幹部たちも別の場所に隠れ家を持っているため、この建物の寝室を使うことはほとんどない。結果として、ここに新たに作られた電話部屋で真面目に仕事をしているベルナルドが城主のようになっていた。
「イヴァンは一緒じゃないのか?」
「・・・あ・・・、下のロビーでカヴァッリ爺さんにつかまってる」
 オレとイヴァンの関係はすでにイヴァンの馬鹿のせいで他の幹部に知られていた。しかも、オレ達は一緒にシノギを廻しているので、いつも一緒にいると思われているのだ。まぁ、実際にほとんど一緒にいるんだが。
 オレはどかっと高級そうなソファに腰を下ろした。きっとこれはベルナルドがどこかの家具屋にオーダーメイドしたヤツだろう。『最高のものを、少しだけ』それがベルナルドだ。
「・・・少し、休憩でもするかな」
そういってベルナルドは引き出しからロリポップを取り出して、こちらのソファに歩いてきた。
「あ、いいな。それちょうだい」
オレも、甘いものがほしくなった。人のものはなぜかいつもおいしそうに見える。
 ベルナルドはソファの前まで来ると、オレを見下ろしながらロリポップの紙を剥がした。
「お、グラッツェ」
ベルナルドはそのロリポップをオレの口元まで持ってきた。当然オレに向けられたものだと思って食い付く。だが、ベルナルドはロリポップのスティックを離そうとしない。オレは少し首を伸ばしたままそれを舐めることとなる。一度含んだそれから口を離す。しかし、ベルナルドは動かない。
「・・・」
俺はまたそれを口に含む。また、口を離す。それでも、ベルナルドは動かない、全く。
「・・・ん・・・」
今度はそれに舌を伸ばして舐めてみた。それをしゃぶりながらベルナルドを見上げる。ベルナルドは、やはり動かない。何も言わない。だだ、眼鏡の奥の瞳がじっとこちらを見ている。
 ・・・ベルナルド?
 ふと、この十数年間で係わった女たちのことが思い浮かんだ。・・・そうだ、今、このロリポップがキャンディーである必要はないのだ。そう、例えばジェラートでもアイスキャンディーでもいいのだ。
「・・・ん・・・、ベル、ナルド・・・」
それでも、オレはこのロリポップをしゃぶることを止められなかった。気づいてはいけないことに気づいた、ということをベルナルドに気づかれるのは・・・危険な気がした。
 これは、無言の、・・・共犯の誘いだ。
 俺は目を伏せ、ただそれを舐め続けた。・・・イヴァンはまだロビーにいるのだろうか。カヴァッリ爺さんとの話が終わったら間違いなくこの部屋に来るだろう。
 ベルナルドの電話部屋には、オレがしゃぶっている音だけが響いていた。いつも頻繁にかかって来ていた電話は、鳴らなかった。
 不意に、ずるっとオレの口からロリポップが引き抜かれた。それはまだ目の前にあったが、俺は次の正しい行動を選択できず、お預けを食らった犬のようになっていた。
「・・・」
「・・・」
俺はベルナルドを見上げ、そしてベルナルドは俺を見下ろしていた。ほんの数秒間、俺たち二人は見詰め合っていた。この空気を、『気づかなかったふり』で切り抜けられるのか・・・?
 突然、乱暴に電話部屋のドアが開かれた。
「おい、ジャン!」
自分の名前を呼ばれて飛び上がるようにドアのほうを見る。
一方、ベルナルドはいつものようにイヴァンに声をかける。
「ああ、イヴァンか。コーヒーでも飲んでいくか?」
そう言ってイヴァンをソファのほうへ促した。
「ジャン」
「え?」
呆けていたオレはベルナルドに名前を呼ばれて、反射的にベルナルドの方に向き直った。それをしっかり確認したかのようにベルナルドはオレを見据えて、そして、あのロリポップをゆっくりと、自分の口に咥えた。
 ――気づかれてる・・・
 急に腹の中が熱くなってくる。気づけば隣にはイヴァンが座っていた。ベルナルドがコーヒーを持ってきた。イヴァンはテーブルの砂糖とミルクに手を伸ばしている。
「お。ベルナルド、オレにもくれよ、ロリポップ」
 内臓が、跳ね上がった気がした。
 ベルナルドはデスクの方へ歩いていき、引出しから新しいロリポップを出して、イヴァンに投げてよこした。ロリポップは歪な放物線を描いたが、イヴァンは難なくキャッチした。オレは、それを見ていた。いや、見せ付けられいたような感覚だった。さっきまで舐めていた感触のある舌から全身へと痺れが廻っていくような感覚。例のロリポップは今、ベルナルドの口の中で行ったり来たりしている。
 気づかれた、んだろう、たぶん。オレがベルナルドの誘いに気づいた、ということを。・・・どうするんだ、これ。どうするんだ、オレ。どうするべきなのか。
 誰も気づいていない。もちろんイヴァンは全く知らない。俺とベルナルドだけだ。二人だけが知っているということがすべての元凶でもあり、またせめてもの幸いでもある。他の誰かが気づくような状況であればそもそもベルナルドは意図を含ませた行動はしなかったはずだ。そしてまた、誰にも気づかれていないからこそ無用な修羅場は避けられている。
「ジャン」
急に呼ばれて俺は顔を上げた。どうやらずいぶん時間が経っていたらしい。そろそろイヴァンも帰るようだ。そうだ、とにかくこの場を離れよう。
「そうだ、ちょうどよかった。イヴァン、証人になってくれ」
ベルナルドがそう言って、立ち上がろうとした俺の前にひざまづいた。そして・・・
「俺の誇りと名誉にかけて、誓う――」
そう言うと、ベルナルドはオレを抱きしめ、頬にキスをした。続けて反対側の頬にも。・・・ゆっくりと、ベルナルドの唇が俺の頬から離れていく。俺の頬にはベルナルドの唇の感触と体温が残った。
「――必ず、俺達のカポに。ジャンカルロ」
 突然の出来事に、俺は反応できないでいた。隣ではイヴァンが目を剥いて驚いている。
「ジャン」
ベルナルドが優しくオレに声をかける。そうだ、返礼を。今のは男同士の心の友情を示す、コーサ・ノストラ伝統の親愛のキスなのだ。オレは慌てて襟を正し、ベルナルドの両頬にキスを返した。
「ああ、ありがとう。ベルナルド」
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ジャンル : アニメ・コミック

tag : ラッキードッグ1 LD1 ベルジャン イヴァジャン

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